それでも離れられなかった

セクシャリティ問題を考えさせられるLGBT映画特集

追い求める愛情が故に

この作品では始まりは友情だったのに愛情へと変わってしまったこと、一度愛しあってしまえばもう離れない、そんな雰囲気がにじみ出ている。ただ冒頭から見て取れるように、イニスは当初ジャックとの関係が友情以上のものになってしまったことを大変後悔している、そんな表情が見て取れるはずだ。それもそのはず、何故ならイニスには同性愛、それこそゲイというものについて少なからずトラウマを持っていたからだ。

それは恋するリベラーチェと同様、劇中での舞台が1960年代というアメリカがまだ同性愛というものに寛容ではない、保守的な傾向が強かった怒涛の時代だからも影響しています。一体イニスに何があったのかというと、かつて自身の父親も加担したという見も知らぬゲイの男性を複数名で暴行して殺してしまうという事件があったからだ。殺されてしまった理由は瑣末なものだ、男とばかり接している、もしかしたらゲイかもしれない、気持ちが悪いから殺してしまえ、という理由もへったくれもないものです。

そんな現場を見せつけられたらゲイというものに対して恐怖心を抱いてしまうのは言うまでもない、もし自分がそうなったら殺されてしまうかもしれないと、そうイニスの心に影を生じさせる原因にもなったのです。

対するジャックといえば愛に忠実なのか、一度愛してしまったのだから忘れられないとして、その後も関係の継続性を求めようとする。結婚しても想いは変わらない、何者にも縛られないジャックの姿が当時で言えば先進的でしたが、その姿勢を受け入れられるかとなったら話は違ってきます。

結果的にイニスはジャックに翻弄されながらもどっぷりと深みに陥ってしまいます、妻と娘の知らぬところで男同士の逢瀬を交わす。形は違えど不倫であることは間違いなかった。

ゲイ=結婚しないではない

ここで先に述べておくと、何も同性愛者だからといって女性と結婚しない人ばかりではありません。そういう人はバイセクシュアルと両性愛者と呼ばれていますが、イニスにしてもジャックにしてもどちらかと言えば2人はバイセクシュアル寄りのゲイ、といった方が良いでしょう。特にジャックは結婚して子供もいるのに、完璧に家庭での地位を物にしている。だがイニス場合、不審な行動の果てにジャックとそういう関係だと知ってしまったがために溝が出来てしまい、最終的に離婚という結末を迎えてしまった。それからは惨めな生活を送るようになってしまうという、絵に描いたような転落人生といえる。

さてここで1つ疑問に思うだろう点だが、ゲイでも女性と結婚できるのかという物がある。これについては、はっきり言えば『YES』と答えられます。どうしてかといえば、いくらゲイでも人並みの幸せを求めたいという思いもそうだが、同時に子供が欲しいと思う人も当然いるのです。また親に孫の姿を見せたいとして、セクシャリティを秘匿したまま女性との結婚に落ち着く人もいる。これはLGBTという人たちの間ではごく珍しくもない、当たり前な話題だ。

好きでもないのに結婚できるのか

当然ここに飛んで来る質問といえば、『好きでもないのに結婚できますか』といったものでしょう。

それを言うなら男女でも互いに合意をすれば簡単に入籍しようと思えば出来る、知り合うきっかけも親を介してといったもので多少なりとも障害があっても結婚しなければならない、そんな時代だって日本にありました。いわゆる政略結婚といったところですが、お見合い結婚というのも典型的に例え好き同士でなくても一応は縁談という体裁から入ります。

もしここで同性愛などといえば間違いなく破談でしょうが、そうなることを望まなければ最初から受けることもないと思います。ですがカミングアウトする人が圧倒的に少ない中では、なかなかうまくは行かないかもしれません。

こうしたケースを考えると、イニスとジャックの場合は条件というものは全て揃っていたといえる、十分に愛し合える条件が。ただそれもイニスのトラウマと婚約者という存在を捨てられない境遇があったため、ジャックとの関係を自然消滅させようとした。

ジャックにすれば

恋愛は後腐れなくしたいもの、なんて応える人もいるでしょうが、そういう結末を迎えるケースは少ないでしょう。イニスにしても答えを出しきらないまま突然会わなくなって関係を消滅させようとしても、ジャックがいまだ諦めることはしなかった。結婚をして家庭を持って、自分の生活を持っていたとしても、愛する人を誰かに上塗りして忘れることなど出来るはずもなかった。

結果、ジャックはイニスに会いに行ってしまい、イニスもジャックの誘いに応じてしまう。そうした一連の行動から見て取れるように、イニスもまたジャックのことを忘れられなかったという点が伺えるはずだ。

離れられなかった

イニスにしてみれば自分の人生においてジャックという存在がもたらした影響力は計り知れなかった。それもそうだ、ジャックは着々とイニスとの密かな関係を楽しみながらも、家庭は順風満帆になっていく。対してイニスは不倫を目撃されてからは妻との関係は溝が広がることとなり、最終的に離婚という結末を迎えてしまいます。積み上げてきたもの、幸せだった未来が途端にジャックという存在によって踏みにじられたような思いになったのは言うまでもないだろう。

人生を狂わされた、そう訴えるほどにイニスは錯乱したがジャックが真に愛しているのは誰か、それを示すために抱きしめる。そしてイニスも喚きながらも、ジャックのことを力強く抱き返し、この瞬間から長く均衡の取れなかった2人の心に架け橋が掛かったといえる。

これは見といたほうがいいですよ

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